源博雅
2006-01-20


鬼だとて 宿世(すくせ)を嘆く夜もあらん

            月よ この手の笛と共に泣け


夢枕獏さんの小説「陰陽師」に登場する源博雅は、実在の人物
だそうです。
小説と同じように、雅楽に優れ、宮中での出世などにはどちらかと
言うと疎いタイプだったようで・・・
ただし、安倍晴明の親友だったと言うのは小説上の設定。
まあ、同じ時期に同じ宮中にいたのですから、顔見知りであった
くらいはありえますよね。

小説での博雅は、晴明をして「お前は本当にいい漢(おとこ)だ」と
言わしめるほど、純粋な優しさを持った人物として描かれています。
たぶん、相手が鬼や魍魎であったとしても、その心の闇の奥に
哀しい風景を見てしまったとしたら、きっと相手のために泣きながら
笛を吹いたりもしたのだろうと。
人の痛みをまっすぐに感じ取って、ただ哀しむ・・・
そんな人が奏でる笛は、どんな澄んだ音色だったのでしょう。
[陰陽師]

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